私が新築の時に買ってよかった家電No1は乾燥機でした。
しかしこの乾燥機という家電はトラブルが多いことでも有名です。
トラブルの中でも最も多いケースは、ホコリ詰まりです。
この記事では、ホコリ詰まりはどうして発生するのか、どういった機種であれば発生しにくいのか。
といったところに焦点を当てて解説します。
なお、この記事は2019年夏頃の調査に基づいています。最新の機器とは内容が異なる恐れがあります。また、専門家ではないので間違った情報が含まれている恐れがあります。ご注意ください。
この記事はこんな方におすすめです。
- ドラム式洗濯乾燥機の購入を考えている
- ガス乾燥機(乾太くん)の購入を考えている
- 壊れにくい乾燥機について知りたい
- 乾燥機の仕組みを知りたい
ドラム式洗濯乾燥機にホコリ詰まりは付き物?
私は2018年に乾燥機の導入を検討していましたが、その時に色々な事を調査しました。
乾燥機は10万~20万円もする、家電の中でも高額なものです。
高額なので長持ちするものにしたいという思いはありましたが、ドラム式洗濯乾燥機はホコリ詰まりのトラブルが多い、という噂も聞いていました。
改めてその噂を確認してみようと、はてなブックマークで「ドラム」で検索すると、はてぶ数No1に出るのがこの記事。※2018年当時
ドラム型洗濯機の埃掃除を業者にお願いした話 – Togetter
この記事を要約すると、「ドラム式洗濯乾燥機を購入して3年で2度目の故障、原因はホコリ詰まり。業者に修理してもらう記事。ドラム式洗濯乾燥機は便利で手放せないけど、毎日メンテナンスしていてもホコリ詰まりは防げない。詰まりやすい機種とそうでない機種がある。」
更に、ブクマのコメントを読んでいると、「ドラム式洗濯乾燥機にホコリ詰まりは宿命」とかいうコメントもある・・・ムムム。
また、同様に「乾燥機」で検索すると、はてぶ数No1はこの記事。
こちらは分解しない程度にできるメンテナンスについて書かれています。
ドラム式洗濯乾燥機は手放せないけど、内部にかなり埃が溜まるのでできる対策はしておこう(という決意) – I AM A DOG
それ以外に、価格comで上位機種に来ているドラム式洗濯乾燥機のクチコミにも、ホコリ詰まりについて書かれているのをよく見かけました。
ドラム式洗濯乾燥機は、ホコリ詰まりが発生しやすいというのは世間では有名なようです。
ホコリ詰まりはなぜ発生するのか
ホコリ詰まりが発生する原因は、狭い機械の内部をホコリを含んだ空気が常に循環するからです。
乾燥機のタイプにもよりますが、主流のドラム式洗濯乾燥機は以下のような構造になっています。
ヒートポンプがヒーターになっていたり、ヒートポンプ+ヒーターだったり、細かい所は機種により異なりますが、仕組みはおおむね同じです。
※パナソニックのCubleシリーズは仕組みが異なります。
最初にドラムを通過した空気には大量のホコリが含まれていますが、これは乾燥フィルターを通過するためほとんどのホコリは除去されます。
そのあとに空気はヒートポンプユニットを通過し、乾燥・加熱された空気となって再度ドラム内に送られます。
水分はヒートポンプの冷却器で除湿・結露し、排水します。
この構造の問題として、以下が挙げられます。
1.ドラムから乾燥フィルターに行くまでの間のダクト内にホコリが詰まる
2.乾燥フィルターを通過したあとも全てのホコリが除去されるわけではないので、残されたホコリがヒートポンプ(またはヒーター)に付着する
3.排水関係がホコリで詰まる事がある
1.ドラム~乾燥フィルターの詰まり
引用:乾燥フィルターエラーが出たら?ドラム式洗濯機のほこり掃除! | ふーんログ
2.ヒートポンプユニットのホコリ詰まり
引用:パナソニック ドラム式洗濯乾燥機を分解してみた(背面編)
3.排水関係のゴミ詰まり
ドラム型洗濯機の埃掃除を業者にお願いした話 – Togetter
参考、画像引用:パナソニック ドラム式洗濯乾燥機を分解してみた(前面編)
参考:フィルターの大掃除でドラム式洗濯機の乾燥機能を直す – 家電 Watch
参考:【乾燥故障】乾かなくなったドラム式洗濯機のDIY修理方法
ホコリが詰まるとどうなるのか、予防できるか
ホコリが詰まると乾燥の効率が落ちます。
通常ドラム式洗濯乾燥機だと乾燥時間は2時間半から3時間半ですが、衣類に含まれる湿気によって乾燥時間が決まるので、効率が落ちると乾燥時間が延びます。
伸びるだけならまだしも、エラーが使用できなくなることもあるようです。
中には乾燥に10時間以上かかったという人も。
また、乾燥が終わっても乾いていないとか、臭いがするという場合もあります。
予防できるかという点については「ある程度はできるが根本的には難しい」といった所でしょうか。
乾燥機はどの機種であっても乾燥運転後は毎回フィルターの掃除を行ってくださいと取説に記載があります。
しかし、このフィルターの掃除をまめに行っていても、ホコリ詰まりは完全には防げないようです。
フィルター通過前のダクトが詰まるのはフィルターとは無関係ですし、掃除されたフィルターであってもそれを通過したチリがヒートポンプユニットに付着するケースもあります。
ホコリが詰まらない機種はあるか
そもそもホコリが詰まりにくいドラム式洗濯乾燥機はあるのでしょうか。
これについては非常に難しい所です。
ドラム式洗濯乾燥機はホコリが溜まりやすいということはメーカーも認識しており、ダクトの口径を太くする、ドラムからフィルターまでの距離を短くして詰まりにくくする、ヒートポンプにホコリが溜まりづらいような工夫をする、などの対策をしているようなので、年々ホコリのトラブルは解決する方向に向かっているとは思いますが、新機種でもホコリのトラブルが報告されている事からも、完全な解決にはなっていないと私は判断しました。
それより、ホコリの心配がいらない機種があります。
それはガス乾燥機です。ガス乾燥機であれば、ホコリ詰まりは無くなります。
ガス乾燥機はなぜホコリが詰まらないか
ガス乾燥機の構造は以下のようになっています。
室内の空気を取り入れてヒーターで加熱し、ドラムで衣類を乾燥させ、フィルターを通して屋外へ排出します。
通常、室内の空気にホコリはほとんど含まれませんし、吸気フィルターもあるためドラムより手前の部分でホコリが詰まることはありません。
ドラムから乾燥フィルターの間は距離がゼロなので、ここに溜まる事はありません。
ドラム型洗濯乾燥機だと、洗濯機能も兼ねているためドラムとフィルターは直結できませんが、乾燥専用のガス乾燥機はドラムとフィルターを直結できます。
唯一詰まる可能性があるのは乾燥フィルターから排気筒で屋外に排出する部分ですが、ここも排気が通るところが広く設計されているためか、詰まることはほぼないようです。
排気筒を持たないために空気を循環させなくてはならないドラム式洗濯乾燥機とは異なり、空気の流れが一方通行なので詰まらないんですね。
また、推測になりますがホコリが詰まらない理由に、スピードも関係しているのかもしれません。
ガス乾燥機の乾燥時間はリンナイの乾太くんで52分なのに比べ、ドラム式洗濯乾燥機は、最速で98分(パナソニックVXシリーズ)で、他の機種は2~3時間です。
ダクトを通り抜けるホコリの総量は同じだとしても、動作時間に2~3倍の差があると詰まりやすさに差が出てくるのかもしれません。
絶対に詰まることは無いのか?というと、そんな事はないと思いますが、私の調査ではネットに「家庭用ガス乾燥機でホコリが詰まって動かなくなった」という報告はありませんでした。
ただし、排気筒の出口に防虫用のネットが設置されてしまい、排気筒が詰まるケースがたまにあるようです。排気筒はこういったものを設置すると詰まる原因となるため、施工説明書には取り付けないで下さいと書いてあります。
純正品にはそういったパーツはないので、業者が社外品を間違って取り付けるとこういうトラブルもあるようです。防虫ネットを誤って使用してしまうと下記のようになるようです。
引用:まさか故障!? ~ 乾太くんがやってきた (5) ~: 色白腹黒の気まぐれ帳
ドラム式洗濯乾燥機で、ホコリ詰まり防止機能を持つ機種とは?
ドラム式洗濯乾燥機でホコリ詰まりを根本的に解決するのは難しいとお伝えしました。
しかし、導入さえできれば最も優れた乾燥機であると思いますが、ガス乾燥機はなかなか導入が難しいというのも確かです。
オール電化でない一戸建ての新築時であれば導入は簡単ですが、ガス栓も必要ですし、排気筒(煙突)を屋外へ出す工事が必要になるので、賃貸ではまずできませんし、マンションでもほとんどの場合は導入できません。
では、ドラム式洗濯乾燥機でホコリトラブルを防ぎたい場合、どうしたら良いのでしょうか。
乾燥フィルターは毎日掃除すること、ダクト内もお手入れ可能な範囲で定期的に掃除すること、等はもちろんですが、ホコリ詰まりしにくい機種を選ぶという事が一番大切だと思いました。
ここからはドラム式洗濯乾燥機の各メーカーがホコリトラブルに対してどう対策をしているかという事を述べます。
2019年7月の記事執筆時の情報となります。最新の情報とは異なる恐れがありますのでご注意ください。
パナソニックVXシリーズ(NA-VX9900L他)
ドラム~乾燥フィルター間が掃除しやすい作りになっています。
引用:【ドラム式洗濯機】 乾燥フィルターのお手入れの仕方は?- Panasonic
公式でもドラム~乾燥フィルターを、別売品のおそうじブラシで掃除することを推奨しています。
ここにホコリが詰まることを認識しているという事ですが、ここが掃除し辛い機種もあるため、最初から掃除することを想定して作っていてくれるのは助かります。
ヒートポンプのフィン部分に水を噴射し、ホコリを洗い流す機能があります。
引用:VXシリーズ特長:自動お手入れ | Panasonic
下記はこの機能が実際に動作している動画です。型式は古いものです。
価格.com – 『乾燥運転前にヒートポンプのフィン部分を水で自動洗浄の様子2(59秒間)』
フィンに水を噴射するぐらいで洗浄できるのか?という点については、少し疑問がありますが、積もり重なったホコリではなく、予防的に日常から洗浄していれば付着が防げるのかもしれません。
下記のサイトは、この自動お手入れが機能がある機種でもヒートポンプが詰まったという報告です。
ドラム式洗濯機NA-VX9500L-Wが全然乾燥しないので修理した
この報告を鵜呑みにすると、やっぱりフィンの汚れは容易には取れないのかなと思います。
この機能はNA-VX7200という2012年9月発売のモデルから導入されているようです。
これ以前のモデルでは、ヒートポンプのホコリ詰まりは頻繁に報告されていましたが、以降のモデルでは報告がほとんどありません。
その事を顧みると、そもそも2012年以降のモデルは新しいため故障報告が少ないという事はあると思いますが、このヒートポンプを洗い流す機能には一定の効果があるが、使用環境によってはホコリが蓄積することもある・・・という事だと思いました。
それから、この機種は店舗で見たときに驚きました。
写真では意味不明ですが、乾燥フィルターを外したところからドラムの裏側が目視できます。
目視できるということは、ここから別売品のおそうじブラシ等を使用してユーザーが手入れすれば、ドラム~乾燥フィルター間は詰まっても直せるということです。
そもそも目視できるほど近い距離にあるのなら、詰まる事もそんなにないと思います。
パナのCubleシリーズや他メーカーのドラム洗濯乾燥機で、この部分が目視できるほど短い機種はありませんでした。
また、乾燥フィルターの直後にヒートポンプらしきものが見えるため、乾燥フィルターからヒートポンプの間が詰まることもなさそうです、というより距離がゼロなので詰まりようがないですね。
ヒートポンプがこの距離にあれば、ユーザーが掃除することも簡単そうですが、素人がヒートポンプを掃除しようとするとフィンを傷める事もあるせいか、手前の樹脂のパーツが外れませんでした。
これも、パナのこの機種の特徴で、パナのCubleシリーズや他メーカーの機種では、乾燥フィルターからヒートポンプが目視できる距離にあるものはありませんでした。
ヒートポンプのフィンが詰まったとしても目視できるので原因がわかりやすく、良いと思います。
以下は、過去機種のホコリ詰まり報告です。
NA-VR5600L(2009年9月発売)
NA-VX5100L(2011年9月発売)
NA-VX7000(2010年10月発売)
NA-VX7200L(2012年9月発売)
パナソニックCubleシリーズ(NA-VG2300L他)
このシリーズは、他のドラム式洗濯乾燥機とタイプが異なります。
機械内の空気を循環させるのではなく、室外から吸気し、室外へ排気を行うタイプで、乾燥運転時は換気が必要となっています。
2015年9月に初めて出た機種のため、あまり情報が無いのでわかりませんが、機械内の空気を循環させるタイプよりかは、乾燥させたあとの空気は室内へ排気するため詰まりにくそうな印象はあります。
しかし、VXシリーズと比べると熱源機の洗浄機能もないし、ダクトの掃除についても触れられていないため、掃除が可能なのかどうかはわかりません。
店頭で観察してみたところ、上記の画像と同様に吸気フィルターのあとすぐにヒーターが設けられており、ヒーターへホコリが付着したときは掃除しやすそうな印象があります。ただ、ヒーターのシンクの目は細かく、ヒートポンプよりいくらかは荒いものの、いくらか付着しそうなイメージはあります。
日立ビッグドラムシリーズ(BD-NX120C他)
乾燥ダクトもしっかり洗うという機能があります。
ドラムから乾燥フィルターまでの間を水で洗い流す機能と思われます。
以下は、過去機種のホコリ詰まり報告です。
BD-V9500(2012年10月発売)
BD-V9700L(2014年9月発売)
BD-S8700L(2014年9月発売)
東芝ZABOONシリーズ(TW-127X7L他)
乾燥ダクト自動お手入れ機能があります。
他のメーカー同様に、ドラムから乾燥フィルターまでの間を水で洗い流すようです。
以下は、過去機種のホコリ詰まり報告です。
TW-Z9500L(2012年10月発売)
型式不明(記事から推測すると2012~2013年製)
シャープ ヒートポンプ型(ES-W111他)
こちらも、乾燥ダクトお手入れ機能があります。
ES-V520(2011年3月発売)
ES-S60(2013年2月発売)
ES-Z110(2013年2月発売)
ドラム式洗濯機の乾燥フィルター詰まりを修理してみた ES-Z110L
各メーカーのドラム式洗濯乾燥機を調査してわかったこと
もう一度この画像で説明します。
1.ドラム~乾燥フィルターの詰まり防止は
パナ:乾燥フィルターからドラムが見える距離にある。自動洗浄機能はなし、ユーザーでお手入れ可能。
他メーカー:洗濯時の給水や、乾燥運転前に散水することでダクトを自動洗浄。ユーザーが手入れすることは想定していない?
10年以上前の型式は、ここのダクトが非常に長かったり、口径が細い傾向にあったが、最近のものはだいたい短め、口径も太めに作られており、自動洗浄機能があるなど何かしら対策が取られている。
また、ここの部分は道具さえあれば分解しないでもユーザーでお手入れ可能なケースが多いと思われる。
2.ヒートポンプの詰まり防止は
パナ:自動洗浄機能あり。乾燥フィルターからヒートポンプが見える距離にある。
他メーカー:自動洗浄機能なし。乾燥フィルターからは見えない。
3.排水の詰まり防止は
発生件数的には少なく、はっきりした原因は不明。メーカーの対策も不明。
設置条件や排水ホースの取り回し等も関係していると予想。
私がおすすめするホコリ詰まりが少ないドラム式洗濯乾燥機
価格comのドラム式洗濯機の売れ筋No1はパナソニックのNA-VX8900Lでしたが、これには納得です。※2019年7月14日時点
パナソニックの新機種は故障が少ない・・・というのが最近のネットでの通説だったようですが、仕組みから見ても、故障が少なさそうだと私は思いました。
もっとも詰まりやすいと思われるドラム~乾燥フィルターまでの間が、ユーザーでお手入れ可能な作りになっている事や、ヒートポンプが乾燥フィルターから見えるというのがポイントでした。
まとめ
ガス乾燥機はホコリトラブルとは無縁なので、ガスが使用可能な一戸建てならガス乾燥機がオススメ。
ガス乾燥機が設置できないか、ドラム式洗濯乾燥機に魅力を感じるなら、ホコリトラブルが少ないパナソニックのVXシリーズがオススメ。
私が行った調査では、ドラム式洗濯乾燥機である以上、ホコリ詰まりを完全に防ぐのは難しいと思いました。
ただ、色々なブログでの報告を見ていると、7~8年以上前の機種は業者でないと解決できないレベルのトラブルが起きている事が多いが、ここ5年ぐらいの機種であれば、ホコリが詰まったとしてもユーザーの手入れで何とかなるケースが多いように感じました。
新機種は使用期間が短いのでヒートポンプへの付着などの致命的なトラブルが発生していないというのも勿論あります。
ユーザーの手入れで何とかできる範囲のトラブルで済むのなら、ホコリトラブルがあったとしても、ドラム式洗濯乾燥機とは長く付き合っていけるのではないでしょうか。
ドラム式洗濯乾燥機や、ガス乾燥機は一度使ったらやめられないほど便利であると、使った事のある人は言います。
そんな家電を、故障が怖いから買いたくない・・・と思う人がいなければいいな、と思いました。
何か間違い等ありましたらご指摘頂けると幸いです。
それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました。
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扱いが難しい使ったあとのバスタオル。ガス乾燥機を使って乾燥させることもできます。
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